皆さま、こんにちは。久方ぶりに皆さまのお顔を拝しました。心から皆さんに感謝を申し上げたいなと思いながら、
今日は登庁をさせていただきました。これからまた4年にわたりまして皆さんとともに職場を共にし、そして、県民
の願いを叶える、そういう役割を果たせること、その光栄を感じております。優秀と言われる県庁職員、この職員の
皆さまが先ずもって先頭を切って使命を果たしていただきたいと思います。
先ず、本題に入る前に、私自身も少し驚いたことをあえて申し上げたいと思います。それは、この選挙という県民
の審判を仰ぐ、県民の県政に対する評価が出る時期でございます。私自身も、皆さまもご高承のとおり、この度、9
割の得票を得てこの場にやってくることになりました。前回も同様でございまして、これは歴代県政で言いますと、
石破二朗知事を抜いて歴代1位、2位の得票率であります。今回の統一地方選でも全国の都道府県、指定都市の中で
もぶっちぎりの1位ということの得票率でありまして、この辺は私も期待したとおりというよりは、むしろそれ以上
のものがあって驚いていることがひとつあります。
しかし、大事なのはそのことではありません。これをどういうふうに読み解くかということであります。それで、
私も選挙終わりまして、もう一度思い返してみました。それで、3月の25日だったと思いますが、選挙に入る直前に
ある新聞社が県民のアンケートを掲載をされていました。読んだとき、これちょっとデータがおかしくないかなと思
うほどのことだったわけでありますけども、そのデータで県政に対する評価がアンケート項目でありました。そのア
ンケート結果は、県政に対して「評価をする」という方々が82%おられました。そのうち37%が「とても評価をする」
と答えられまして、「どちらかといえば評価をする」という方が45%でありました。「評価をしない」という方が4%、
それで、「全く評価をしない」という方は0%でありました。これちょっと数字がおかしいじゃないか、でき過ぎじゃ
ないかというふうにも思ったんです。開票速報の日に出口調査というのが行われます。この出口調査におきまして、
やはり同様のアンケートがなされました。これは投票所において報道機関の方が調査をされるわけです。各社同じよ
うなことをやられましたが、どこも同じようなデータであったと思います。
ある放送局さんのデータによりますと、「大いに評価する」、県政を大いに評価をするという方が37%、そして、「あ
る程度評価をする」、ある程度評価をするという方が57%、それで、それに対しまして、「あまり評価をしない」とい
う人が5%、それから、「全く評価をしない」という人が0%でした。それで、後でこの放送局の方に聞きますと、千
数百人のアンケート調査をしたんだそうです。それで、そのときに生データで言いますと「全く評価をしない」とい
う回答は0人だったと。それでどよめきが上がったというお話を伺いました。私たちは8年にわたりまして、皆さん
と一緒になって県政改革を進めてきたわけです。県政のベクトルを変えてきました。何を変えたかというと現場に出
て行こうです。それで、現場に出ていって県民の皆さま、あるいは農業団体だとか、商工団体、そうしたところの実
情を聞いて、やるべきことをどんどんやっていこうということに変えていきました。打って出る県政という言葉を使
いながらやってきたわけです。それまでは城に立てこもるかのように、この中でときには評論家的に、あるいは査定
してやるという態度だけで県政を運営していた感がありました。しかし、それではいけない、県民のための県政であ
って、県民が主役で県民が担い手の県政にならなければならないということでベクトルを変えていったわけでありま
す。そしたらそういうように皆さんの方から出てきたいろんな政策テーマ、これをどんどんと解決しようということ
で進めてきたわけであります。また、県民の皆さまに対してオープンな県政をしよう、透明度100%の県政をしようと
いうことで努めてまいりました。さらにこれまで連携ということはどちらかというとなおざりにされていました。県
庁は県庁でやるし、農業団体は農業団体でやりなさい。あるいは他県との間も鳥取県はモンロー主義であって、全国
知事会などの組織でも私たちは関係がないと、こういうスタンスでやってきたわけでありますが、連携に移りまして
周囲の地域とはもちろんのこと、県内のいろんな団体とも連携を図ってやってくる。こういう県政のベクトルの転換
を図ったわけです。
また、結果を出そうということにもこだわってきました。そうしていろんな政策を打ちながら、結果を見ながら検
証してきた、それでPDCAサイクルを回してきたわけです。皆さんにもいろいろお願いを申し上げていたのは、現
場主義でやるわけでありますから、前例踏襲ではない、全国にはない政策でどんどんやっていこう。国が言っていな
い政策でもやっていこう。これを8年間かけて進めてきたわけです。これが私たち鳥取県庁がやってきた県政の改革
でありました。先程申し上げましたデータのように、非常に多くの方々が今の県政の進め方を評価してくれているわ
けです。それが今回の選挙として現れたんだと思います。だから冒頭申し上げましたように、先ずもって皆さまに感
謝を申し上げたい。皆さまのお力で今日の県政が県民に評価をされ始めている。そういう県政に変わってきたという
ことを皆さまにご報告を申し上げ、感謝を申し上げたいと思います。
しかし、ここに安住していてはいけません。県民は今、鳥取県庁に非常に期待をしています。おそらく全国都道府
県の中でこれほどに高い評価を得ているということは、逆に言えば、それほど高いハードルを突き付けられていると
言ってもいいです。ですから、我々の今までやってきたこのやり方、このメソッドが間違いではない。このメソッド
を活かしながら次のステージへと転換をしていかなきゃいけない。それが今私たちこの県庁に生きている証であり、
生きている責任でもあります。この県庁というマシーンが上手く動くかどうか。これによってこれからの鳥取県が県
民の皆さまの暮らしが変わってきます。それは間違いないです。今、歴史は大きく変わり始めています。なぜかと言
うとグローバル化が進んできている。このグローバル化が進んできて、ボーダレスな社会になってきている。鳥取県
だけでもなくて、日本だけでもなくて、外国との付き合いの中で生まれてきている。これが経済にも大きな影響を与
えてきています。さらにものづくりだけでもない。そういうあるいは貨幣経済的な発想だけでもない。幸せのかたち
も変わってきています。東日本大震災のあと、鳥取県民の暮らしは、東京都民や大阪府民から見て羨ましいと本気で
思ってもらえるようになり始めています。自然が豊かであって、人の絆があって温かい環境の中で生きていける。そ
れこそ人生が、あるいは子育てが豊かになる、そういう条件だと思う人たちが増えてきていることであります。この
ような価値観の転換もある。
さらに大きな社会的なトレンドも変わってきています。少子高齢化がどうしようもなく進んできました。私たちは
少子化対策、教育対策をやり、それによって1.62、全国7位まで合計特殊出生率を上げてくることができました。し
かしながら、これでゴールではありません。2.07 ぐらいが人口が維持される、そのデータだと言われています。それ
にはまだまだ0.45 足りない。ですから、向こう4年間で1.72 まで増やしていこうと。こんなような目標を持って具
体的な政策を投入していかなきゃいけないかなと思っています。また、社会のトレンドの中でも変わってきているの
は中山間地のあり方です。今回私も各地県内の津々浦々、村々、辻々まで出かけまして、ありとあらゆる人たちと話
をさせていただきました。4年前、8年前と比べて少しびっくりをする、目を疑うのは、本当に崩れている家が出始
めたことです。見捨てられてしまって、住んでいなくて地域としてのケアも出来ていない。それで家がもう壊れ始め
ているというそういう廃屋も出始めているわけであります。このままで放っておいていいのかということです。そう
いう意味で私たちは次のチャレンジに出なければならない。これを是非、県庁職員の皆さまと問題意識を共有をして、
皆と一緒になって決断をして実行してまいりたいと思います。これができれば鳥取県は全国を本当でリードできるこ
とになるでしょう。県政の期待感が強い、信頼感も厚いという現状を上手く利用すれば、県民一丸となって企業や農
業者やあるいは子育て世帯やいろんな方々と一緒になって、私たちは全国でも最もパワフルな県政改革を進め、絆を
活かした元気づくりができると信じております。
皆さまと一緒にその道に進んでまいりたいと思います。具体的には「鳥取元気プロジェクト」を起こしていきたい
と思います。人を元気に、産業雇用を元気に、まちを元気にしてまいりたいと思います。少子化対策、教育対策、こ
れも部局横断的に縦横無尽な政策をはっていかなければならないと思います。全国で最先端となる第3子以降の保育
料無償化、あるいは高校生までの小児医療費助成、こうしたことを市町村と了解をとりながら、速やかに進めていく
必要があります。これらに止まりません。教育の改革でも本当で子どもたちの育ちが保障されるのであれば、子育て
世代はむしろ鳥取県を居住の地として選択をするようになるでしょう。それを目指したいと思います。また、お年寄
りの皆さま、高齢化がどんどん進んでいますのでこの高齢者の皆さまのウエイトが広がってきます。今まで高齢化対
策というのは、高齢者の対策というのは市町村のもんだと、どちらかというと県庁は引き気味になっていたんではな
いでしょうか。そうではなくて、これがメインターゲットになってくる、このことを自覚しなければならないと思い
ます。その意味で健康づくりだとか、また医療や福祉対策、これらをしっかりと市町村とタイアップをしながら組ん
でいく。もちろん市町村の役割を果たしていただくわけでありますが、県としてもやるべきことを探していく必要が
あると思います。
生きがいづくりのことも必要です。人材バンクのように高齢者の方の活躍の場を広げていく、それで地域のボラン
ティア活動だとか、地域づくりにもお手伝いいただくことができるんではないでしょうか。また高齢者の皆さまの生
涯スポーツとしてグラウンド・ゴルフのようなことがあります。これは大ブームでありまして、この選挙期間中もあ
ちこち行きましたが、結構あちらこちらでグラウンド・ゴルフの姿が見られました。考えてみますと、グラウンド・
ゴルフは鳥取県が発祥のスポーツです。ですから、グラウンド・ゴルフの聖地として、このことを活用していく、例
えば国際大会をやるとかですね、そうした夢のあることにもチャレンジをしていけるんではないだろうかというふう
に思います。女性が輝く職場をつくろう、安倍内閣も始動しようとしています。ぜひ輝く女性の200 社の企業を作っ
ていきたいと思いますし、それに向けたプログラムを早急に作って実行してまいりたいと思います。
また、県庁も率先垂範していかなければなりません。これは私たち人事当局の話しかもしれませんけれども、職員
の皆さまにも理解を得ながら、管理的立場の職員の30%は4年間で女性にしていきたいと思います。今、新入の職員
の数もどんどん増えてきていますし、県庁全体を見渡しますと、病院の職員もいらっしゃいますので、決して手が届
かない目標ではないと思っています。もちろんそのためには管理的地位に足りる能力の実証もしていただかなければ
ならないわけでありますが、女性が働きやすい環境づくりをこの鳥取県庁でも率先垂範でやって、こういうふうにや
りましょうと民間の企業にも呼び掛けていく、その土俵を作らなければなりません。
また、2つ目には産業とか雇用の元気を作ることであります。今いろんなアンケートがこの選挙の前後に行われま
した。先に紹介した25日のアンケート結果では、県政に期待するものの第1は、これは選挙の実像というか、対立候
補との論点と何か正反対のようにも思えるんですが、第1位はびっくりしました、企業誘致、それから若者の雇用の
場です。これが半分くらいで第1位でありました。実は、先程ご紹介を申し上げましたある放送局の出口調査でも約
半数が産業のこと、景気のこと、これが第1位でありました。これが県民の期待なんだと思います。ですから、産業
だとか雇用の元気を作ること、これは県民の皆さまの願いを忠実に反映させるための努力にもなります。県民の皆さ
まは率直に評価もされていると思います。企業誘致を進めたり、全国でも最先端の中小企業支援をやってきました。
これによって有効求人倍率も急上昇をしてまいりました。1倍を超えるという17年ぶりのステータスを得るに至って
いるわけであります。
しかし、雇用の質が今、問われています。安心して暮らし続けることができるように雇用の質を上げなければなり
ません。ですから、向こう4年間では、1万人の正規の社員、職員、そうした正規雇用を創出をしてまいりたいと思
います。職種の転換ということもあるかもしれませんし、また、誘致企業による新しい雇用もあるかもしれません。
また、既存の企業さんの雇用の幅を広げるということもあるかもしれません。そういうときに、正規の職員というこ
とを重要視していただく、そういうプロモーションをかけていくことで達成をしていきたいと思います。また、農林
水産業も県内の基幹産業であります。これも大きな分かれ目を迎えようとしています。農業においては、今、今月末、
TPP交渉がどうなるか、オバマ大統領は今キューバの問題でやっていますけども、次はTPPをたぶんやってくる
でしょう。これが日本との交渉がどうなるかというのが月末の安倍総理との交渉にもなるのではないかなという観測
記事も出ています。
ただ、それだけではありません。農業が元気を失ってはいけないわけです。今、鳥取県でも「新甘泉」を初めとし
て有望な品種が市場でもマーケットでも評価されるようになりました。ある農業団体のトップの方とお話をしていた
ときに、お互いにやりとりをさせていただいたとき、「きぬむすめ」がちょうど2年連続で特A米を取ったわけです。
そのときに従来どおりの農業の考え方でいきますと、とにかく売り先を考えなければならないので、「きぬむすめ」の
売り先をあそこだ、ここだ、確保しますよという話をある人がされました。そうしたら、農業団体のトップがおっし
ゃいました。いや、もう特Aなんだから高く売ることを考えないといけん。私もそうだと思います。要は、安売りだ
けでとにかく販路拡大をするという時代は、今終わり始めている。農業者が求めているのはある程度高くで売れるこ
と、ブランド力のこと、これも含めていかなければなりません。この辺は今まで政策としても弱かった部分だと思い
ます。
また、水産業や林業もそうであります。雇用の場として非常に有望であります。水産業も若い方々が好んで就業さ
れることも増えてきました。育てる漁業も増やしていかなければなりません。さらに林業については木質バイオマス
の電力プラントができることになりますから、この需要も広がってくる、今がチャンスなわけです。新しいもの、そ
れからおいしいもの、新鮮で安全なもの、こういうものを求める消費者の需要に応えられるようになってきました。
高速道路のネットワークもつながり、出荷の体制も変わり得るわけです。そして市場の評価でも鳥取産米をアンテナ
ショップでまとめて買って帰るお客さんが出るようになってきているわけです。時代は確実に変わり始めている。こ
こで農林水産業でも打って出るべきときにやってきたんだと思います。
また、まちを元気にすることであります。このまちについては、例えば防災のこと、イエローゾーン、レッドゾー
ンは全てなくす、これで安全安心を図ること。また原子力安全対策も向こう4年というのは非常に重要なモーメント
を迎えると思います。安全を第一義として周辺地域の意見を聞かせながら、そして進めるということでないといけな
い。また、それだけではありません。交通のネットワークを広げることです。これもある程度フォローウィンドが吹
いているのかもしれません。この度国交省の方から明らかになりました状況では、鳥取県には配分は直轄事業ずいぶ
ん来ている格好になっています。駟馳山バイパスから先の南北道路と言われる鳥取道や山陰道に結ぶあたり、これに
ついての計画段階評価が始まることになりました。竹内南岸壁における航路、国際航路の受け皿となるフェリーター
ミナル、これについても物流の拠点として、国内と海外の物流の接点として境港を育てていこうという国の意思もあ
り、これも前に進むことになりました。これだけではなく、いろいろと今、国に対して要望活動も実を結び始めてい
るところでありますが、県民の皆さまは、便利になった鳥取県をもっと便利にしなきゃいけないと考えています。鉄
道の問題もしかり、航空路線の問題もしかりであります。皆さまと一緒にそうした便利な鳥取県をつくっていかなけ
ればなりません。
また、市町村の仕事であるというふうに思われるかも知れませんが、リノベーションであるとか、中山間地の振興、
これもいいモデルを作って、それを称揚をして広げていかなければなりません。県の役割も沢山あると思います。こ
のようにして、誇れるところ、住んでよし、訪れてよしの鳥取県を創らなければなりません。特に観光やリゾートの
魅力は、鳥取県はまだ未開発のところがあると思いますので、同じように温泉においしものがあって、素晴らしい人
たちがいるところです。そういうふうに鳥取県の魅力を打ち出していける、まちを元気にしていく、そういう方向性
を見つめていきたいと思います。先程申し上げましたように、どんどんと今歴史が変わり始めていて、地方創生とい
う言葉が言われるようになりました。そのフロンティアとして、旗手として、私たちは元気づくりを始めたいと思い
ます。
歴史が変わり始めていて、今までは資本主義経済だとか、あるいはものづくりだとか、それから従来の都市型の価
値観がありました。その価値観が今パラダイムシフトで、いろんな意味で変わり始めています。私たちは今、歴史の
坂を登って来て、ようやっと峠に差し掛かってきたんだと思います。その歴史の峠の向こう側には、新しい世界が広
がっている。新しい時代がようやく見え始めている。その時代が鳥取県にフォローウィンドの時代なのか、あるいは
アゲインストな時代なのか。その時代をこれから、皆さんが創るんです。この県庁がリードして創っていかなければ
ならないのであります。ぜひお集まりの皆さん、そして中継をみていただいている県庁の皆さんと一緒に、この4年
を時代の峠として、新しい時代が生まれて来て、それが10 年、20 年、30 年経って、あの4年間があったからこの鳥
取県は良くなったと振り返ってみていただけるような時代に創り変えて行きたいと思います。
私は、鳥取県の未来を信じたいと思います。皆さんも同じように鳥取県の未来を信じてください。そしてこれから
広がる素晴らしい未来のために、皆さんも一緒にいい仕事をしていただきたいと思います。それを県民の皆さまが願
っていますし、県民の皆さまは、皆さんの仕事をこれまでの8年間、非常に信頼してくれているわけであります。ど
うかその期待に応えていただきたいと思います。皆さんとこれから4年間、一緒に仕事ができること、改めてその光
栄だということを申し上げまして、私の方からのメッセージといたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。