鳥取さいこうチャレンジへ

令和5年1月10日 記者会見概要
鳥取県知事 平井伸治

 皆様こんにちは。 

 今日、皆様にわざわざお時間をいただきましたのは、私、平井伸治、この一心を固めまして、来たる4月9日の統一地方選挙に、鳥取県知事選挙候補者として立候補する意向を固めさせていただきました。 

 多くの皆様のご支援やご協力いただきながら、しっかりとこれから皆様に、私の考えを申し上げ、これから4年間は非常に大切な4年になると思います。そういう意味で、一つ、この身を投じる値打ちがあるのかな。いろいろと悩んだんですが、このように思うに至りました。早速に、今日、仕事始めの日に、こうして皆様にお話をさせていただくこととしたわけであります。 

 若干、心象風景を申し上げたほうがいいのかもしれないなというふうに思います。昨日、少し雨が上がったこともありまして、最近は新型コロナになり、コロナ禍で、なかなか人混みに行くのも難しかろうと、時々裏の久松山系の方に出かけていくわけであります。
「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地をとおせば窮屈だ。」 ふとそういう『草枕』、夏目漱石の冒頭が心に浮かびました。

 もう自分も意地を張っている場合ではないだろう。あまり理屈をこねていてもしょうがないのかもしれない。多くの方々が、「平井、立て」というふうにおっしゃってこられています。それに応えるのが、身を投じるのが、今この時、「県民の道具」として、私がなすべきことなのかな。そういうように思いました。

 「鐘ついて去る 鐘の余韻の中」
そういう尾崎放哉の句があります。私自身、16年間、自分の性格もありまして、ぎりぎりまで頑張り抜いてきたつもりでありました。最近は、そういう放哉の句ではありませんが、自分の余韻の中にすっきりと去ることも、正直考えておりました。しかし、なかなか世の中の情勢が、予想とは違う方向に動きまして、多くの皆様から熱心な出馬についてのご意見をいただくようになりました。 

 私自身は、これまで例えば障がい者の福祉のこととか、地域振興のこと、そもそも最初に名乗りを上げたときに、地域間格差を是正しようと言って、ハイウェイが繋がっていない鳥取の当時の3割の供用率、これを何とかしたいと申し上げておりました。いろいろとテーマはありますが、一つ一つ自分なりに道筋もつけかけてきたつもりでありました。高速道路もこの年度末で8割供用という節目にもなるわけでございましたし、そういう意味で、今、どうすべきかというのも、自分の進退については、慎重に考えるべきときだというふうに思い続けてきたわけであります。ただそういうときに、今これだけ大変なので、ぜひ鳥取を何とかする力を出せと。人によっては、驚きましたが、「鳥取を見捨ててはいけない」という言い方をされる方もいらっしゃいました。随分と心に響きまして、考えをだんだんと改めてきたというのが、ここに至る心境であります。 

 「故郷の冬空に戻ってきた」
そんな放哉の句もあります。昨日の空を見上げながら、そういう思いを強くしたところでございます。 

 これからの4年間を考えますと、「分かれ道」です。世界も日本もこの鳥取も、「分かれ道」です。どういう選択をするかによって、浮きもすれば沈みもしかねない状況です。今もってヨーロッパでの戦火は止みません。それどころかエスカレートしかねない。これは日本においてもそうかもしれません。例えば国民保護事態ということなど、真剣に訓練などもやはりしておくことが重要なのかもしれません。 

 コロナにつきましては、新型コロナのウイルスの様子は変わってきており、これも今「分かれ道」に入ってくると思います。新型コロナと共存しながら、経済や社会を動かしていく。そういうことをこれからやっていく必要がありますし、これまで培ってきた医療関係者、事業者の皆様との関係、こういうものをしっかりと受け継いでいくことで、私たちは次の感染症の危機に備えることができるかもしれない。ひょっとすると鳥取県は、今まで一番うまくやってきた県でもありましたので、一番健康を守れる県になるかもしれません。そういうように、いろいろと考えるべき課題があります。 

 コロナですっかり経済、特に観光だとか飲食だとか大変な状況にあります。細く長く、そうした支援をしていく一方で、成長できる産業というものをしっかりと作っていかなければなりません。事業承継などの課題もあります。

 また、人材不足が最近は強調されるようになってきました。特に若い方々が、夢を持って、ここで子育てをしたり、働いたり、あるいは事業を起こしたり、そうしたことができるように、私たちのふるさと変えていかなければならないというふうに思います。

  また、この地域を元気にしていく意味で、インフラストラクチャーなども、これからが勝負です。向こう4年間でできることは、山陰自動車道の全通であります。この山陰自動車道の全通が単なる道が繋がるということだけじゃなくて、なりわいや夢が繋がるようにならなければなりません。こうしたことを軸にした観光振興につなげていったり、企業の立地につなげていく。そういう意味で、重要な私たちのターニングポイントが、これからの4年間ではないだろうかと思います。 

 このように考えて参りますと、私たちは、次の時代へ船出をしていく、鳥取から新しい歴史を創っていく、それが、私たちのテーマとなる。こう考えるわけであります。 

 私、平井伸治は、これからの4年間につきまして、「鳥取さいこうチャレンジ」をやる必要がある。そこにこの一身を投じる、そういう覚悟で今日ここに参りました。新型コロナや燃油高、肥料高など苦しい状況の中で、今危機にあります。世界を見渡しても危機にあります。もう一度、この危機から転じて新しい歴史を作っていく。「鳥取さいこう」を目指したいと思います。 

 あえてこの「さいこう」はひらがなで「さいこう」としたいと思います。単にもう一度興すのではなくて、ベストなSupremeな最高というものを創っていこう。そして平井流に言えば、「さあ行こう、レッツゴー」そうした意味も加えて、「鳥取さいこうチャレンジ」を行っていきたい。それが、私がこれから4年間、県民の皆様、事業者、様々な方々とスクラムを組んでやっていくべきものではないかと考えております。

 3つのジャンルがあると思っております。 

 1つは、「ふるさとの元気」の「さいこう」です。
 今の新型コロナで沈みかけてきた、そういう地域経済、これをもう一度、ふるさとの元気を取り戻していく。また、インフラストラクチャーも更に繋がっていく。そういう時をとらえて、構造的なふるさとの元気づくりをしていく必要があるのではないだろうか。
 農林水産業についても、和牛、次の5年目の大会を目指して、スタートを切り始めたのが昨年であります。この和牛ももとよりとしまして、梨であるとか、スイカであるとか、様々な作物で、過去最高単価を叩き出すようにもなってきています。まだまだ「さいこう」を追求できるはずです。ただ、肥料高や、堆肥の問題などがあり、こういうものを解決していかなければなりません。林業においては、皆伐・再造林に本格的に向かっていく。それによってCO2の吸収減対策にもなりますし、生業(なりわい)づくりにもなります。その条件整備をやっていくのが、これからの4年間になるはずです。水産業もそうであります。カニはおかげさまで、蟹取県を始める前よりは随分と単価が上がってきました。様々な挑戦をして、そうした販路開拓をしたり、船を建造したりということをして参りました。さらに養殖であるとか、今、海が荒れているところをブルーカーボンの計画を作って、再興させていかなければなりません。
 このようにして、産業を元気にし、雇用というものを創り出していく。これが大きなテーマになると考えております。 

 2つ目には、「健康・安心」の「さいこう」であります。
 新型コロナについては、現在ターニングポイントを迎えてきております。この新型コロナをぜひとも沈静化させることが一つ目標でありますが、それとあわせて、もっと厳しい、そうした病気に感染症が変わってくるかもしれない。その新たな感染症に対しても、今回の経験を踏まえて、もう二度とドタバタはしない。そういう体制を医療従事者の皆さんや、関係者と作っていくべきではないだろうか。それから最近の課題として、更年期障がいとか、あるいは認知症であるとか、そうしたことも言われるようになりました。是非ともですね、こうした課題に対して、専門的な対策を考える。こうしたプラットフォームを作って、政策を前に進めたいというふうに思います。
 また、犯罪被害者の支援、あるいは特殊詐欺の問題、8050問題、いろいろと安心を脅かす、そういう課題もあります。犯罪被害者支援につきましても、今までは全国的に国が作った雛形の中で動いている感じでありましたけれども、もっと行政が前面に出るべきではないか。なぜ民間団体に政府も自治体もこれまで依存してきたんだろうか。そういうように発想を切り換えていくぐらいやっていかないと、本質的な解決は得られないんではないだろうか。こういうようなことをいろいろと、テーマを考えながら、健康だとか、安心についても「さいこう」を図って参りたいと思います。

 そして、「人・暮らし」の「さいこう」が3番目のテーマであります。
 子供たち、その健やかな未来、これはふるさと鳥取の未来でもあります。「子育て王国」を私たちは掲げて、これまでやって参りました。さらにこれをパワーアップする、安心パワーアップのプロジェクトを立ち上げていく必要があると思います。政府もようやく動き出しました。予算倍増という言葉も出ているわけであり、私たちがさらに、全国をリードしていく必要があるのではないか。医療ですとか、あるいは保育料ですとか、これを私たちは無償化、あるいは助成を出して、全国でもトップでありますけども。さらにもう一歩踏み込んだ負担軽減ということも、市町村と話し合うことから始めてはいかがだろうか。子供たちの未来を支える教育についても、バカロレアの教育が始まりますが、これにとどまらず、英語教育をはじめとした国際人、あるいはICTに寄与できるような人材、スポーツでの活躍、そうしたものを柔軟に支えていく、そうした私達の仕組みがあってもよいのではないだろうか。 

 さらに、私たちの暮らしを考えますと、非常にこのコロナの中で孤独や孤立が深まったとも言われます。その孤独・孤立、これを防いで、「支え愛」のぬくもりのある社会を推進していく全国で初めての条例を昨年末に制定しました。これに基づいて、実行あるのみだというふうに思います。国の方で提供のないような、そういうジャンルの問題もあるかもしれませんが、現場で実際に苦労なさってる方々、その実情に沿った対策を次々繰り出していって、安心して暮らしていけるセーフティネットを張る必要があります。 

 また、2年後には、「ねんりんピックはばたけ鳥取大会」があります。これを契機として、シニア世代の元気な活躍、そして健康づくり、交流、こういうものを地域の中で演出し、クローズアップして、大きくしていくチャンスではないかというふうに思います。さらに2027年はワールドマスターズゲームズもあります。そういう意味でこれからの4年間、こういうシニア世代の活躍ということも、一つのテーマにしていくべきではないかと考えております。 

 こういうことにとどまらず、若い方々の活躍、特に子育て、あるいは出会いや結婚、それから就職、そうしたものを考えていかなければなりませんし、こういう若い方々と一緒になって政策づくりをしたり、また情報発信をしていく。よくそうした世代の方々とお話をしますと、もっと情報を届けるべきだ、鳥取の良さを届けるべきだというお話もございます。そういう意味で、仕事のやり方。民主主義が今、世界的に危機にあると私は思っています。日本も例外ではなく、メディアの皆さんがこれまでそうした世論をリードしたりしてきましたが、これがネット社会と交錯をするようになりまして、どういうふうに展開するか、見えにくくなってきています。ボルソナロさんの影響ということもあるのかもしれませんが、ブラジルでも議会に乱入するということがあったりしました。決してこういうことが日本で起こらないわけではない時代になったのかもしれません。だからこそ、鳥取でしかできない地方自治の姿というのを、これから4年間でしっかりと作っていきたいと思います。その土台としての県庁の行財政改革のプランも、もう一度作り直してみたいと思いますし、県庁の中の人材育成、そうしたことも重点的に行って、これから10年、20年、100年と、新しい歴史が開かれた後の鳥取をリードしていく。そういう砦をこの場にも作っていく必要があると考えております。 

 パートナー県政を推進をして、様々な団体、いろんな方々と交流をし、意見が率直に述べ合える。そうした行政過程に参画をしていただきやすいのは、人口が一番少ないこの鳥取だからこそだと思っています。16年前に私もここ日本に戻ってきて最初に訴えたのは、鳥取だからできる、そういう連携と自立の世界であります。鳥取の民主主義、地方自治を今こそ成熟させていくべきではないだろうか。それが百年の計かもしれないとも思っているわけであります。 

 私は、「県民の道具」として、この身をささげさせていただきたいと思います。今、厳しい危機の中にある鳥取において、県民の皆様が暖を取る「薪」としてこの身を燃やし尽くし、ささげて参りたいというふうに思います。道具としてもくたびれてきましたが、くべる「薪」にはなると思います。そういう決意で、今日この場で私の思いを申し上げました。 

 皆様の方でお聞き取りいただいたことに感謝申し上げますとともに、素晴らしい歴史がこれから開かれることを祈っております。ありがとうございました。

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