「命と健康を守る闘いを、今日より始める。」
4月10日夜10時。県内初となるPCR検査陽性を受けた新型コロナ対策本部でこう宣言し、患者の無事快復に全力を挙げ、県内感染を広げないため徹底したPCR検査等を展開する方針を決めた。
この日のために「準備」を重ねてきた。
高齢化が進み大都市と違い医療資源が潤沢でない本県にとり、高齢者の死亡例が多い新型コロナは危険だ。しかし、大学も病院も行政も住民も顔が見える絆が残る小規模自治体の特性を逆に生かせば勝機はある。現場の声を大切に、迅速に機動的に。全国初の患者が出た1月半ばには相談窓口を開設。21日には庁内会議を発足。月末から県医師会と協議を始め、12床だった病床を322床まで拡大。また、厚労省のPCR検査対象が限定的過ぎると考え、2月7日から「検査実施の必要性が高い場合」は本県独自に検査するよう改め、更に1日196検体まで検査体制を増強。人口当たりの病床数や検査能力は全国断トツ1位となった。
本県の陽性3例については、濃厚接触者に限らず1日最多129件PCR検査を実施するなど、感染の広がりを直ちに抑え込んだ。県民の予防意識と医療関係者等の協力の賜物と感謝に堪えない。
本県は休業要請を原則控えたものの、全国同様深刻な影響が飲食・観光・製造業等に広がり、現場主義の対策が急務だ。
国に先駆け1月に始めた県融資を保証料なし・無利子に順次拡充し、3月には金融機関の協力を仰いだことが、初動での資金供給に繋がった。休業の有無を問わず店舗を一律に助成し、県独自ガイドラインも設け、衛生対策を実践する「協賛店」は千店を超えた。文化芸術支援や高校野球等の代替大会実施も、全国の先頭を切って表明した。県民には「人と人 間(あいだ)が愛だ」「三つもの密だとミスだ」「幸せは予防で呼ぼう」の「新型コロナ克服3か条」を呼び掛けている。
コロナとの闘いは、患者一人の闘いではない。地域の絆が成否を決める。
「咳をしても一人」
尾崎放哉の名句だが、新型コロナでそんな孤立を作るまいと、県を挙げた闘いは続く。